神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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エトー
(ここはもうだめだ。エトーと船へ急げ!)
(父さんは!)
(大事なものがまだ神居にある。すぐに追いつく。急げ!)

 静かで暗い。
 
(誰もいないのか?)

 水音がする。
 気がつくと頬を水に濡らしていた。
 頬だけではなかった。半身は水の中だ。
 板切れの上にかろうじて乗っている。

(父さん・・。)

 エトー?エトーと言ったか?
 父さんは何を守ろうとしたのだろう?
 
 微かな音がした。
 その音に気づいてエイジアの意識は深いところから甦ってきた。
 うっすらと目を開くと、微かな光が見えた。
 振り返ると球体がぼうっと薄く光っている。

 音もなく扉が開いた。
 エイジアはうながされるようにその扉から細い通路を辿って外へと出ることが出来た。
 エイジアが通るところに灯りがともり、ランバーの外へ出るとそれらは奇麗に消えた。
 外で立ち尽くした。
 まるでランバーは生きているようだった。
 星を辿って村にもどると、ナダイが声を上げた。
「どこに行ってたんだ!」
 今まで一度も発しなかった言葉だった。それによってナダイの心配がわかった。
 ナダイは自分の動揺に気づき、いつもの笑顔にもどった。
「まあ、いい。帰ってきたんだ。夜も更けた。腹はすいていないか?」
 エイジアは黙ってナダイのふるまうトラビと、甘い果物を口にした。
 ナダイが言った。
「彼らは明日、シュトへと帰るそうだ。」
「えっ?」
 エイジアは顔を上げた。
「ランバーは?」
「迎えが来るそうだ。」

 翌朝、エイジアはトーダの元へ急いだ。
「帰るって?」
「ああ。もう待てないそうだ。迎えがくる。」
「トナンは?」
「まだ鎮まってはいないが、しかたがない。」
「一緒に?」
 トーダはうなずいた。
「ランバーは?」
「置いていく。」
 エイジアは少し黙って、それから聞いた。
「エトーってなんのことだ?」
 トーダは片眉を微妙に上げたが、首を振った。
「心当たりがないなら話すことはない。」
 エイジアは言葉を探しながら、やっと口にした。
「昨日、覚えていない記憶の断片が甦ったんだ。その中にエトーという名前があった。」
 トーダは今度は両眉を上げた。
「聞き覚えがあるのか?」
 話していいものか迷いながら、口をついて出た。
「エトーと逃げろと言われた。父に。」

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