神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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ランバー
 その日の午後遅く、エイジアは砂丘を下った。
 そのままになっているランバーは、少しずつ砂に埋もれていた。
 何か引っ掛かるものを胸の奥に抱えてしまったエイジアは、なんだかじっとしていられなくなってここに来てしまった。
(ジン?なんだろう?それは・・。)
 だが、トナンの様子ではトーダにそれを聞くことははばかられた。
 ランバーに何か手がかりはないだろうかと思ったのだ。
 入り口に砂が積もって開きにくくなっていた。
 だが、試しに何度か体当たりをしてみると、思いがけず開いた。
 真っ暗な船内に入ろうとすると、ぼうっと明るくなる。
 驚いて外へ飛び出した。
 もう一度おそるおそる中へ足を踏み入れる。と、また灯りがつく。
 思い切って入ってみた。
 両側にいくつか扉のある細長い通路が続いて、突き当たりまで来た。
 そこの扉の突き出た部分に触れた。
 するとそれは音もなく開いた。
 どうやらそこは操縦室らしかった。けっこう広い空間で平べったい窓が右から左までぐるっと取り巻いている。
 エイジアは操縦室の中をぐるっと回ってみた。
 真ん中に台のようなものがあり、透き通った丸いものがそれを覆っている。
 覗き込もうとそれに触れた。するとその透き通った丸いものの中心に、映像が現れ始めた。
 海の上を飛び、深い森の上を飛ぶ光景だった。思わずみとれていると、その深い森の向こうに神々しいほどの何かが現れて来た。
「あっ。」
 それは見る見るうちに全景を現わした。
 山肌の半分を白くした、そこだけ巨大に聳え立つ山だと分かった。
(キラウア山。)
 と、突然ウーンと低い音を立てて映像は途切れた。
 映像だけでなく、ぼうっと灯っていた灯りも消えた。
 窓が外の光を入れていたのでかろうじて船内の様子は見えた。
 だが、戻ろうとして、扉が開かないことに気づいた。
 しばらく押したり引いたり、叩いたり、体当たりしたりしてみたが、びくともしなかった。
 黙ってその場に立ち尽くした。
 ナダイがいつも言っている言葉を思い出した。
(なるようにしかならないときは力を抜くんだ。)
 ひとつだけ息を吐くと、振り返った。
 操縦室をもう一度、初めから根気よく見ていくことにした。
 うす明るい光を頼りに3つ並ぶ椅子の端のひとつに座ってみた。
 手探りで何か反応するものはないか探っていく。
 3つ目の椅子まで来て、その一番端の部分に手が触れたとき、再びウィーンという低い音がして、今度は操縦席の前がいろんな光で点滅し始めた。
 その中で点滅の速いところに手をかざした。
 すると、乗組員の声がして思わずエイジアは驚いて立ち上がった。
 実際にここにいるのではないことにようやく気づくと、もう一度座ってその声に耳を澄ませた。
 何か言い争っているようだった。

「そうじゃない!トーダは真面目くさったしたり顔でまるで自分が正しいようなすまし顔だ。それは一番ジンの嫌うものだ!だから見つからないんだ!」
「よせ。トナンは激しすぎる。それもジンからは遠いものだ。」
 デンの声だ。
「だから言ってる。時が来ないとそれは出会えない。あせってはだめだ。」
 サオ・ハの冷静な澄んだ声もした。
(ジン・・彼らはそれを探しているんだ・・。だが、なんだ?それは?)
 その後の会話は雑音が入って、ピーッという高い音とともにそれは切れた。再び静寂が訪れた。
 しばらく椅子に座ったままでいたエイジアは、ふと我に返った。
(・・ここから出るにはどうしたらいいんだ?)
 いつの間にか陽が暮れかけていた。
 外の明るさが薄れればここは闇に沈む。
 ここにエイジアがいることを知る者はいない。
 今度はさっきよりも盲滅法手当たり次第に触るものを叩いていった。
 なんの反応もない。
 少し、肌が粟立ってきた。
 もう一度扉を叩くが同じこと。
 さっき光景を映した丸い球体にすがった。
(なんでもいい。なにか見せてくれ。・・見せてくれなくてもいい。なにか反応してくれ。)
 だが、沈黙に支配されたまま最後の陽の光は落ちて、深い闇にエイジアは抱かれた。
 自分の鼻の先すらも見えない。
 為す術を失ったエイジアは、球体の台にもたれて座り込んだ。
 再び力を抜いて、ただ闇に融ける。
 時が消えた。
 エイジアの思考は停止した。
 融けるがまま、ただそこにあるがまま、裸になって在った。
 浮かぶのはこの村に来てからの映像。
 まるでさっきの球体を見ているようだった。
 深い闇はエイジアの立つところをさらに深く掘り下げていった。
 吸い込まれるようにその淵へと落ちていった。

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