神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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ジン
 何日も特に何もする様子を見せないトーダに、エイジアは聞いた。
「帰る術はないのか?」
 トーダは笑うと答えた。
「帰ろうと思えば首都に連絡をとればすぐに迎えが来る。」
「ではなぜ?」
 柱にもたれていたトーダはエイジアに向き直ると声を潜めた。
「待っている。」
「何を?」
「トナンが鎮まるのを。」
「?トナンがどうかしたのか?」
「今度の事故はトナンが引き起こした。ランバーはたいていのことでは故障しない優秀な機器だ。だが、人間の引き起こす想定以上の電磁波には案外弱い。」
「なんだそれ?」
「きみも感じるだろう?トナンのそばによるとチリチリと痛くないか?」
 エイジアは棟の端で外の緑をただずっと眺めているトナンをそっと見やった。
 エイジアはトーダの横に座り直した。
「それはなんだ?」
「さあ。奥深いところにある何かだ。怒り、かもしれないし、憎しみ、かもしれないし。」
「それはずっとなのか?」
「前から感じてはいたが、事故直前にピークが来た。」
 そう言ってからトーダはエイジアの横顔をじっと見つめた。
「エトーという言葉に聞き覚えはないか?」
「エトー?」
 エイジアは首を振った。
「そうか。ならいい。」

 エイジアが井戸で水を汲んでいると、そばに立つ者がいた。
 トナンだった。
 エイジアは黙って水をトナンに差し出した。
 トナンはそれを受け取って飲み干した。
 何か言うでもない。
 だがじっとエイジアの瞳を見つめた。
 行こうとしてエイジアは声をかけた。
「ランバーは好きか?」
 トナンは振り返った。
 もう一度聞いた。
「ランバーは好きか?」
 黙っていたトナンはうなずいた。
「じゃ、また乗りたいだろ?」
 黙った。
 もう一度水を汲んでトナンに差し出した。
「乗りたくない。」
「どうして?」
「あたしはランバーを壊してしまう。」
 エイジアは驚いた。トナンは知っていたのか。
「でも、乗組員なんだろう?トーダは待ってる。トナンが鎮まるのを。」
「あたしはトーダは気に入らない。だから切れた。」
 さらに驚いた。
 トナンはいつになく饒舌だった。
「何が気に入らないんだ?」
「あいつのもっともらしさ。」
 わからない。
「いったいどこが?」
「あいつは正しい。だけど、それは《ジン》に触れるものじゃない。」
 思わずそう言ってしまってトナンはハッと微かに顔色を変え、黙った。
「ジン?なんだそれは?」
「何でもない。」
 そう言ってさらに不機嫌な顔になって足早にトナンは去っていった。
(・・・・。)
 エイジアは不可解な気持ちを抱えた。
(彼らは何かを隠してる。)

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