神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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惑星の王冠
 次の瞬間、アテヒトは自分が惑星の上空にいるのを感じた。
 だが、同時に議場にいることもわかっていた。
 自分というものが、顔や手足を持っただけのいきものではないということ。全存在をかけて感じていた。
 見たことがないはずなのに、美しい星の姿を眼前に見ていた。
 深い満足と、絶対の安心と、震えるような感動を同時に覚えていた。
 それは、生まれる前に感じていたことだとわかった。
 この星に降りてゆく前に、存在はこの星の美しさに震える。
 隕石のように降り注いで、みなやって来る。
 肉の器めがけて。

 隣には帯状にたなびく同胞たちがいた。
 今、議場にいる人間がすべて、いや、今、この惑星にいる人間がすべて、ここにいることがわかった。
 なぜなら、アルハラの哀しみも、デンの哀しみも、すべて映りあい、融け合い、万華鏡のように輝いて自分の記憶として映し出されていたからだ。
 怖れも不安もそこでは荘厳なまでの宝物(ほうもつ)だった。
 好奇心に満ちたわたしたちは、死への不安すらもそこでは微笑み、受け取っている。
 どこまでも透き通った妙なる歌声が幽かに響き渡っている。
 アテヒトにはわかっていた。1度も聞いたことがない、あれはモリンの歌声だ。
 アテヒトは自分たちが、惑星といういきものを讃えるために捧げられた王冠であることを感じていた。
 王冠は、王冠として賛美されるのではなく、それを捧げるものを賛美するために生まれた。なぜならこれほどの美の王は、ないからだ。

 アテヒトは赤子のようになって深い息をした。
 そして静かに目を開いた。
 議場では人々がそれぞれに深い体験をした呼吸に支配されていた。

 首都の機能は静かに止まった。

・・・・・・・・

 空調も、灯りも消えた議場で、だが、人々はなんとも言えない広い地平と深い安らぎを感じて言葉をつむげないでいた。
 エトーが言葉を発した。
「エトーの智慧はどんな知識でもない。体験することは様々だ。だが、たったひとつ共通するものがある。」
 そう言って書物を閉じる仕草をした。
「それが何かはわかる。」
 アルハラがやっと言葉を口にした。

 灯りがやわらかく戻って来た。
 空調も静かなうなりを上げ始めた。
 エレベーターは精妙な動きを見せ始めた。

「ここから始めましょう。」
 ユーニスが代表して述べた。


 惑星世紀三千年。
 ひとつの大陸に寄り添いあう砂金のようないのちの粒は
 ようやく無数の変遷から脱皮し、
 惑星を賛美し、銀河を賛美する進化を迎えた。
 それによって惑星の変動は鎮まりを見せ、その重力によって銀河の安定に貢献し、さらには昇華によって太陽系を引き上げ、進化はさらに次の次元へと入った。

  〜END〜


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