神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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境人
 村の真ん中にはひとつ大きめの棟があった。村の者が寄り集まって何かするときのもので、そこに住む者はいない。トーダはそこへ案内された。
 夜更けと夜明けの境目であったが、村の女が火を焚いて待っていた。
 トーダはそこで白くて少し泡のはじける飲み物をふるまわれた。この海岸に生え、風を防ぐ役割もしているトーラの実からとれる酒だった。
「じきにみなさんもみえるでしょう。もう少しわけを話してくださらんか?」
 老の言葉にトーダはうなずくと、訥々と語り出した。
「みなさんはランバーを見たことはないようだ。内陸へと旅したことは?」
 そこにいた者はみな首を振った。
「若い者の中にはいるが、もどっては来なかった。ここは小さな村じゃが、暮らしてはゆける。村に伝わる言葉にこういうものがある。『果てなき欲の果てには果てなき終わり
が待つ。始まりの村よりい出て暮らすな』と。」
 トーダはしばしその言葉を味わっていた。小さく息をもらし、うなずいた。
「なるほど。わきまえたいい言葉だ。我々はその果てから来たようなもの。」
 トーダはもう一度エイジアの顔を見て、問いかけた。
「きみは、生まれた時からここにいるのか?」
「・・いや・・。」
「そうか。道理でみなと顔が違う。」
「あたしの子だよ。」
 ナダイが言った。
「あなたの?」
「流れ着いた時からエイジアはあたしの子だ。」
「流れ着いた?いつ?」
「5つの夏を越えた」
 トーダはもう一度何か聞きたそうな素振りを見せたが、そこにランバーの乗組員たちが到着した。
 ツーリのがっしりとした背に背負われて来たのは怪我をしたと言われている乗組員だろう。それ以外に村の者よりも色の黒い男と、女のようにほっそりとして銀色の髪をしている白い肌の神経質そうな少年がいた。
 トーダはそのどちらでもなく、むしろエイジアに似た顔の造りをしていた。
「紹介します。デン・オコナーとサオ・ハ、そしてトナン・ラ。」
 黒い男、白い少年、そしてツーリに背負われた者の順にトーダは紹介した。
 ツーリの背から降ろされた者を見て、ささやき声が上がった。
「女か?」
「女だ。」
 エイジアよりは年上に見える若い女だった。
「いったいなぜここに?」
 老が問いを続けた。
「事故です。駆動装置の冷却部が壊れ、過熱して炎上する寸前だった。飲料水も全部使ってなんとか食い止め、不時着しました。その際トナンが怪我を。」
「どこへゆこうとしていたのだ?」
「惑星探査です。」
「惑星探査?」
「我々はこの星の地図を更新している。地形に変化がないか、隅々まで飛んで定期的に観測しています。」
「あのような大きな船で?」
 その問いにはトーダは答えなかった。
 老はトーダに向けていた目を白い少年の方に移すと言った。
「ところで・・そちらの人よ。あなたはもしや、境人では?」
「境人?」
 エイジアが小さく声を上げた。
「それはなんだ?」
 傍らのナダイに聞く。
「境をまたぐ者よ。知らなかったか?わたしも1/4、その血が入ってる。目に見えるものと見えないものの両方をまたいでいる者のことだ。」
「生っ粋の境人であろう?」
 老が言うのにサオ・ハは答えなかった。
「境人だとなにかまずいのか?」
 トーダが問うと、老は首を振った。
「風を読むため、ただ確かめたかったのだ。」
 サオ・ハが口を開いた。
 少女のような高い声だった。
「あなたが心配するようなことでない。どんな風でも乗ればいい。」
 その澄んだ声を老は身に響かせた。
「うむ。まずは休まれよ。寝ておらぬのじゃし。疲れたであろう。」

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