神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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ドラゴと
 デンに送られてドラゴたちのいる施設に着いて、部屋へ向かった。
 ドアを開けたドラゴは少し驚いた顔をした。
「ひとりか?」
 うなずいたアテヒトは中へ入っていいかという仕草をした。
 ドラゴはドアを大きく開いた。
「なんの用だ?」
「なにか不便はないかと思って。」
「なにもないね。なにもないってとこがかえって不便だが。」
 アテヒトは小さく笑った。
 ドラゴは目を細めた。
「可笑しいか?」
「ああ。あなたはどこか、憎めないよ。ほんとうに独特だ。つっけんどんかと思えばほんとはそうでもないんだ。それは少し話してればわかるさ。」
 ドラゴは口元をゆるませて、アテヒトに飲み物をすすめた。
「わたしのことを話してくれないか?」
「おまえの?」
「知ってることを。エトーから聞いた限りのことを。」
 ドラゴは黙った。
 自分の分の飲み物を注ぐと、アテヒトにソファーを示した。
「おまえの父のことを話そう。」
「父さんのこと?」
「覚えていないんだろう?」
 うなずく。
「エージンはいい神仕えだった。なにしろ、自分の身のほどってものを知っていた。」
「身のほど?」
「自らよりも大きなものがあるとこころから信じ、それにほんとの意味でかしづくことができるというのは、しあわせなんだよ。それは自分がいかに小さいかを知ってるってことだ。」
「そういう人だったんだ。」
「そうさ。」
「なぜ思い出せないんだろう・・。父さんは生きているだろうか?」
「さあね。」
 ドラゴはちょっと黙って、反対に聞いてきた。
「おまえは、ここの連中をどう思っているんだ?」
「ここの?ユーニスやエルナハンやトーダたち?」
「利用されているんじゃないのか?」
「利用って何に?」
「もちろん、ジンを探すためだ。」
「彼らは首都がある意味死んでるのをほんとに憂いているんだ。だから、ジンを探している。わたしには正直いってそれがなんなのかはまだよくわからない。だけど、彼らが誠実なことは感じてるさ。」
「サイタンのことは聞いたか?」
 アテヒトはそのことを言うドラゴの顔を見た。そしてうなずいた。
「サイタンはどこかにいる誰かのことじゃない。おまえであり、オレだ。」
 自分のことを指差すドラゴに驚いて聞き返した。
「サイタンなのか?」
「よく聞け。」
 ドラゴは苦笑して、もう一度ゆっくりと告げた。
「おまえであり、オレ、だ。そして、ユーニスであり、トーダだ。」
「えっ?」
「どこか別のところにサイタンと顔に書いた悪者でもいると思ったか?」
「狙う者がいる、と。それからエトーは逃げているんじゃないのか?」
「今日、神のはしくれだったものが、明日、サイタンとならないと誰が言えよう。」
「?」
「昔から唱われている詩だ。エトーはひとのサイタンを暴くこともする。ほんとうのジンを伝えるために。」
「詳しいんだな。どうしてそこまで知ってるんだ?」
 思わずアテヒトは思ったことを口にした。
 ドラゴは黙った。
 ひと呼吸おいて、静かに口を開いた。
「エトーは死にそうだった。死ぬ前に全てを誰かに託したかったんだ。」
「エトーは死んだのか!?」
 ドラゴは首を振った。
「いや。言ったろう。自分の生き場を本能のように嗅覚で感じて探り当てるため発った。」
「もしかして、ドラゴは一旦ジンも託されたとか?」
 ドラゴはにやりと笑った。
「触れたのか?ジンに」
「その前にエトーは回復して発った。」
「そうか・・。」
 アテヒトは脱力した。
 ドラゴはそんなアテヒトを見てまた目を細めた。
「おまえは幼い頃から垣根のない子だった。」
 アテヒトはドラゴを見た。
「普通なら人が嫌う物もらいの子を、追いかけて一緒に遊んだそうだ。死んだ者を恐がりもしなかった。冷たいから温めてやろうといつまでもさすっていたこともあった。記憶はなくしてもそんなおまえはなくすな。本来なら神官になるところだった。神官になったらいい神官になったことだろうな。」
 アテヒトは不思議な気持ちになった。
 自分の知らない自分をこの人は知っている。
 浜に打ち上げられてからの、寄る辺ない想いがほんの少し癒された。
 ドアをノックする音がした。
 ドラゴが立って扉を開けると、バギが立っていた。
 バギはアテヒトが座っているのを見て、ドラゴを見たが、アテヒトにほんのり笑ってみせた。
 アテヒトも思わず笑い返した。初めて見るバギの笑顔だった。
「じゃあ、失礼します。」
 アテヒトはそれを潮に立ち上がった。

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