神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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ウノ
 その島は、町と呼べる場所があり、人もけっこういた。
 トーダは飛行艇を町はずれに置き、歩いてその町に入った。
「飛行場もあるが、最新鋭の機器は目立つからな。」
 食事のとれる場所があり、人が集まっていた。
 4人はそこで夕食を頼んだ。
 やはり比較的エイジア人の顔の多いところだ。
「以前にも来たことはあるんだが、なんの収穫もなかったな。」
 トーダはそう言って食事に手をつける。
 だが、サオ・ハは目ざとくそのトーダの腕の上に手を置いた。
「みなで一斉に見ないで、それとなく見て。あっちのテーブルの男がこっちをちらちら見ている。」
「エイジアを見てるな。」
 デンがそう言って目配せした。
「知ってるのかも。」
「デン。それとなくエイジアと彼に近づけ。気をつけろ。」
 デンはうなずくと、笑いながら立ち上がってエイジアをうながした。
 男のそばの陳列棚にいき、エイジアとともに品定めするふりをした。
 するとずっとエイジアを目で追っていた男が、エイジアに声をかけた。
「おい。おまえアテヒトによく似てるな。」
 エイジアは振り返った。
「違うか?年頃もそんなだ。オレを覚えてないか?」
「あんたは?」
「ウノのおっさんだよ。記憶にねえか?」
 エイジアはデンと顔を見合わすと、答えた。
「記憶を無くしたんだ。わたしを知ってるのか?」
「記憶を無くした?おまえの父親はどうした?ひとりか?」
「あんたはどういう人?」
「おまえの島によく行商に行って遊んでやったろう?あれからどうしたかと思ってたんだ。」
「あれから?」
 デンはその男に言った。
「あっちのテーブルで詳しく話してくれないか?」
「あんたたちは誰だ?」
 エイジアは納得しやすいよう一言でこう説明した。
「わたしを助けてくれたひとたちです。」
 男は自分の酒瓶を持ってテーブルを移って来た。
「ほんとに何も覚えてないのか?」
 エイジアはうなずいた。
「あれからのあれってなんですか?」
「そりゃ、あれだよ。噴火だよ。」
「噴火?」
「おまえの島は活火山で、噴火したろう。人は住めなくなった。」
「父さんのこと、知ってるんですか?」
「ああ、オレの品をよく買ってくれた。上得意だった。」
「何をしてる人?名前は?」
「神官だよ。サタ・エージンだ。」
「じゃあ、わたしは・・。」
「サタ・アテヒト。そうだろ?そうじゃないのか?そうだ、一度木から落っこちて左肘に大怪我したことがあった。見せてみろ。」
 ウノはエイジアの肘をまくった。
 そこにはウノの言う通り、かすかに筋になってふくらんだ傷の跡があった。
「アテヒト・・。」
 エイジアは、いや、アテヒトはその名を繰り返した。
「間違いないようだ。噴火したって?」
 トーダが身を乗り出した。
「そうだ。5年前だ。急な噴火だった。あまり前兆はなかったんだ。いのちからがら逃げられたものはよかった。だが、けっこう死んだな。」
「じゃ、父さんも?」
「そいつはオレにもなんともいえない。だが、それっきり会ってない。島の者もちりぢりになって、どこへ行ったもんやら。おまえは記憶を失ったって?」
「ある海辺の村に流れ着いて拾われたんだ。」
「エトーを知らないか?」
 トーダが声を低くして問いかけた。
「エトー?」
 ウノが聞き返した。
「だれだっけ?そいつは?」
 酒で顔を赤らめたウノは、しばし痺れる脳をまさぐった。
「ああ、庭師のセンのことか?」
「庭師?」
 トーダとアテヒトの声が重なった。
「セン、セン、と呼んでたからな、たしか名字がそんなだって1回こっきり聞いたことがある。エトーって名前は他のやつはあんまり知らねえんじゃねえか?どうなったか知らねえな。運がよけりゃ、アテヒトみてえに助かったろうよ?」
「庭師なのか?エトーは。」
 デンが聞いた。
「オレの知ってるのは庭師のエトー・センだ。神居の手入れをしてた。アテヒトをかわいがってたな。」

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