神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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「死って、ただ体が死ぬことだけじゃない。心だって死ぬ。」
 今度はエイジアが黙った。
「『ジン』っていうのはただ穏やかな優しいだけのものじゃない。人間に喜びと輝きを与えるものだ。」
「そうなんだ。」
「例えばこの湖を見ても、何も感じなくなったとしたら、それはその人は生きているといえるんだろうか?」
 エイジアは外を見るためにゆっくりと顔を上げた。
「そういう人が増えているんだ。」
 デンも添えた。
「だけど、そんなたいそうなことがたったひとつの宝物くらいで解決するのかい?」
 サオ・ハは微笑みを浮かべた。
「それは物じゃない。」
「?」
「魂だから。」
 サオ・ハは立ち上がると湖を見下ろした。
 そのサオ・ハの後ろ姿を見つめていたエイジアは、不思議になって誰に聞くともなく聞いた。
「サオ・ハは境人っていうけど。いったいそれって何?たしかに他の人間とは違う感じがする。」
 デンが答えた。
「我々には見えないものが見えるというのは、それはそれでつらいことだ。だけど、それは役割があってそうなんだ。我々よりずっと年はいかないが、サオ・ハは自分の役割を受け入れている。ジンを探すにはサオ・ハのような者が必要だ。ジンに触れるにはよほどピュアでなくてはならない。サオ・ハは本質を洞察してしまうから、自分をごまかすことができない。それは貴重な資質だ。」
「トナンも?」
 思い出したようにエイジアは問うた。
「そうさ。そのおかげできみに会えた。正直、どうしてトナンがメンバーなのかはわからなかったが、なにがどう転ぶかなんて所詮人間にはわからない。」
「へえ?」
 デンはおどけたように首をすくめた。
「デンはなぜメンバーなの?誰が決めたの?」
「ユーニスだ。オレはフツウの人間の代表だな。」
 デンがにやりと笑うのにつられて笑った。

「ゆっくりするといい。何か希望するものはそこを押して連絡して。そして、何か思い出すことがあればいつでも知らせてくれ。」
 デン・オコナーとサオ・ハはそういって部屋の扉を閉めた。
 ひとりになってエイジアは再び湖を見下ろした。
 午後の陽は陰って来ていた。水面に当たる光はきらきらと輝いて、美しかった。
(これを見ても何も感じない人間がいる・・。)
 エイジアは言葉に出来ない感慨を抱いて窓辺に立ち尽くした。

 夢を見た。
 誰だかわからないがあたたかい記憶だった。ナダイに似ているが、ずっと遡った昔のことのようだった。それは、眠ったままエイジアにひとすじの涙をこぼれさせた。
 翌朝起きた時、エイジアにひとつの変化が起きていた。デンに言われたスイッチを押した。
「北に向かうことは出来ないだろうか?」
 やって来たのはトーダとデンだった。
「北?」
「サオ・ハがわたしは北から来たと言っていた。わたしも自分のルーツを探したくなったんだ。」
 トーダとデンは顔を見合わせた。
 さっそく中規模の飛行艇が用意された。
 トーダ、デン、サオ・ハ、そしてエイジアは、再び探索の飛行に出ることになった。
「北の島々をもう一度洗ってみるか。」
 トーダはそういって操縦室で眼前に表示した地図をにらんだ。
「そうだね。北に絞れただけでも前進だ。」
 サオ・ハがつぶやく。
「他にはわからないだろう?」
 トーダはサオ・ハに求めた。
「求めて現れるものでもないんだ。」
 トーダは笑みを浮かべて何度もうなずいた。
 北に点在する島々の内、まずは比較的大きな島に降りて情報収集することにした。
 いくつかの島をあたった。何番目かの島に着く頃は陽が暮れかけていた。

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