神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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施設
  ユーニスはエイジアの驚愕と不安を落ち着かせようと、低い声で制した。
「あなたの意志がなければこれは共有できません。あなたが許可したから、共有できたのです。安心して。勝手にあなたの心や記憶に立ち入ることはなんびとも出来ないのです。人間の意志、決定はどんなに時代が進んでも犯しがたいものです。」
 エイジアは脱力したように座った。
「やはり、きみはエトーとごく近い間柄だったようだ。」
 トーダが再び納得するようにうなずいていた。
「何があったんだろうな?天変地異か、それとも・・追っ手か・・。」
 デンがつぶやいた。
「まあ、このくらいで。・・休みなさい。首都を見物してもいい。」
 ユーニスはエイジアを気遣って立ち上がり、みなをうながした。
 デンとサオ・ハが付き添ってくれた。
「行きたいところはあるかい?それとも、きみの部屋に案内しようか?」
 デンが言ってくれて、エイジアは答えた。
「わたしの部屋?」
 デンは笑って歩き出した。
「こっちだ。」
 やはりテラスに乗って今度は上昇した。
 格納庫があった階の回廊をぐるっと回って、反対側の扉を入ると、そこは4人乗りの乗り物が並んでいる空間だった。そこでデンとよく似た少女と、彼女に付き添う中年の女性に声をかけられた。
「デン!」
 デンは声のする方を見ると笑った。
「モリン!」
 エイジアの方を振り返ると紹介した。
「妹だ。モリン。こっちは母。」
 モリンは美しい漆黒の瞳をキラキラさせてエイジアを見た。
 エイジアはこんなに澄んだ瞳は見たことがない、と思った。
「どうしたんだ?」
「先生のところへ行って来たところ。デンは?」
「ああ、これからオレはこのひとを保養施設に送るとこだ。」
「誰?」
「西の海辺から来たエイジアだ。」
「はじめまして。」
 モリンは笛が鳴るような声を立てた。
 デンの母も笑っていた。
 エイジアはモリンの声に聞き惚れながら尋ねた。
「先生って?何か習ってるの?」
 デンが替わりに少し誇らしげに答えた。
「歌を習っている。モリンの歌は首都で知らない者はいない。」
「そう。今度聞くといいよ。」
 サオ・ハが微笑んだ。
 ふたりと別れると、デンは4人乗りの飛行艇にエイジアとサオ・ハを乗せて発進した。
 自動的に格納庫の扉のようなものが開いて、空へとその小さな乗り物は飛翔した。
「きみのような客人を迎える施設がある。そこでゆっくりしたらいい。眺めも最高だ。」
 あっという間に距離を飛び、再び降下し始めた。
 眼下に美しい水面を望んだ。
「あれは?」
「湖だ。」
 その湖畔に緑に溶け込むようにその建物はあった。
 デンが案内すると、その施設の人々が笑顔で迎えた。
 エイジアは湖に面した居心地のいい部屋に通された。
「食事をとろう。」
 並べられたのは、見たことのない美味しい料理、果物、飲み物だった。
「不思議だ。」
「何が?」
 サオ・ハが問うた。
「シュトのどこが何か違っている?まるで理想の世界じゃないか。『ジン』が足りないとはとても思えない。」
 サオ・ハは黙った。
 どう、言葉にしたらよいものか、内側で吟味しているかのような表情だった。
「ユーニスが言ったことを覚えてる?」
「?」
「巧妙な死亡事故。」
「ああ。変な言葉だった。」
「何も間違っていないように、死に至らしめる。・・そこまで進化しているんだ。」
「どういうこと?」

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