神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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白い部屋
 格納庫を出て真直ぐの突き当たりは、明るい透き通った壁だった。
 そこの前まで来ると自然にそれは開いて、天井のない自然光の取り入れられた美しい吹き抜けが目前に広がった。地下深くまで蟻の巣のように層になって、多くの人々が行き交い、何かしているのが見える。目を上げれば緑に囲まれた青い空がぽっかりと見える。
 一同は吹き抜けのテラスのようなところに立った。
 するとそれは何の振動もなく高速で降下し始めた。
 止まったところで吹き抜けを取り巻く回廊を歩き、ひとつの部屋へと入った。
 真っ白い壁だけの部屋で、ユーニスは一同に座るよう勧めた。
 人々が座ると、それぞれのそばに飲み物の乗った台が滑るようにやってきて寄り添った。
 聞こえるか聞こえないかぐらいの美しい旋律と、そこはかとない気持ちのいい香りも漂ってくる。
 ユーニスはその味わい深い笑みに瞳をゆるませて、エイジアの顔をじっと覗き込んだ。
 なにも言わなくても、くつろがせる人だった。
「何をききたい?」
 エイジアは座り心地のいいソファーに深く座り直すと、まずは自分の大きな疑問を口にした。
「『ジン』のこと。それがなんなのかわたしにはまだよくわからない。トーダはそれを狙う者がいるといいました。サイタンを呼ぶと。それもよくわからない。エトーのことも。」
 ユーニスは深くうなずいた。
 後ろの壁に手を掲げた。
 するとその壁面にひとつの機器の映像が現れた。
 みなのそばに飲み物を運んできたように、それは食べ物を運ぶものらしい。
「これがジンがある働き。」
 それは人に寄り添うように近づく。人と一体となっているようだった。
「これがジンを失った働き。」
 同じように運んだ。だが、それは微妙にあさっての方へずれ、機械的で、冷たかった。
「これはまだいい方。大昔ならこれで喜んだもの。でも、機器が精妙になるにつれ、暴走するとやっかいさも増した。巧妙な死亡事故すら起きることがあるのです。」
「・・『ジン』ってなんですか?」
 ユーニスはもう一度うなずいて、ゆっくり語った。
「これらの機器は人の思考を受け取って動くもの。この動きは人の鏡。つまり、『ジン』とは人の心の繊細で、慈愛深い部分のことをいうのです。」
「人の心?」
「そしてそれは実は繊細でありながらパワフルな部分です。そのパワフルさのみを欲するならばサイタンを呼ぶ。」
「サイタンって?」
「サイタンとは慈愛とは対極の心。剣のような心。支配したいという心。ジンは裏返るとサイタンの可能性もはらむ。」
「そんな危ないものを探しているのですか?」
「そうではないよ。」
 エルナハンが笑った。
「エトーに伝わるのは、そのジンをジンたらしめるものだ。智慧といってもいい。元々ここにジンはある。だが、ジンは見い出されなければその働きは眠ってしまう。」
「エトーの智慧を持ってすればジンがジンとなるなら、狙う者がそれを生かせばそれもジンとなるのでは?」
 トーダが屈託のある顔を見せた。
「さあ、やっかいなのはそこだ。欲を持ってすれば、エトーの智慧を持ってして同じことをしてもサイタンとなる可能性を含む。しかも強力なね。ほんとうは、そこに気づくための智慧なんだが。」
「ややこしいんですね。やっぱりよくわからないな。」
 サオ・ハが含み笑いをしていた。
 エイジアはさらに聞いた。
「エトーはどこかにいると?それはひとり?それともたくさんいるんですか?」
「それを守っているのはごく限られた者だろう。」
 エイジアは思い出した。
(父さんは何か大事なものが神居にあると言っていた。もしかして・・。)
「あなたのお父さんが取りにもどったものは、それではないようだ。」
 サオ・ハがこちらを見ていた。
 エイジアは驚いて声を上げた。
「なぜそれを?」
「あなたが許すなら、この画像解析機で映像を結んでもいい。」
「そんなことができるのですか?」
 ユーニスはうなずいた。
「もちろん、あなたの許可がなければそんなことは出来ません。」
「では許可します。」
 ユーニスはサオ・ハの方を向いてうなずいた。
 サオ・ハはユーニスの後ろの壁面を指した。
 エイジアがランバーで見た光景がそこに現れた。

(ここはもうだめだ。エトーと船へ急げ!)
(父さんは!)
(大事なものがまだ神居にある。すぐに追いつく。急げ!)

 エイジアは驚いて立ち上がった。
「これは・・。」

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