神々の黄昏の時代
エイジアの民に伝わる《ジン》
それを探す首都の民

《ジン》とは?サイタンとは?

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首都
 昼にもならぬうちに、それはやってきた。
 ランバーの十分の一くらいの大きさの飛行艇が2機、村の真ん中に降りて来た。
 煙のように静かだった。まるで雲が舞い降りたようだった。
 子供達はもの珍しく、歓声を上げて群がった。
 やはり音もなく開いた入り口から、人が降りて来た。
「エルナハン。」
「トーダ。」
「彼か?」
「そうだ。」
 エルナハンと呼ばれた男はエイジアを見た。
 エイジアが差し出された手を握り返すと、エルナハンは笑った。
「ランバーは後で調整班が来てチューニングする。たぶん持って帰れるだろう。一足先に帰るぞ。トナンはそっちだ。ブロック艇でゆっくり来い。ではさっそくゆくぞ。」
 デンやサオ・ハが乗り込み、トナンは別機に乗り、トーダも老と握手をして乗り込んだ。
 エイジアはもう一度ナダイを振り返り、ツーリの顔を見、老や村の人々の顔を見回した。子供達は意味が分からず笑っている。
 ふっと風のような笑みを浮かべると、手を振ってエイジアは乗り込んだ。
 ツーリの叫ぶ声が聞こえたような気がした。
(急だったから。あまり別れをちゃんと言えなかった・・。ありがとうみんな。今まで。)
 来た時と同じように静かに離陸した。
 だが、みるみる高度を上げ、あっという間に村は点のようになった。
 あとは水平飛行だ。
 だが、その速さといったらなかった。
 もう1機とみるみる差が開いた。
「あの船とこんなに離れていいのか?」
 トーダに聞くと、トーダは笑った。
「あれはブロック艇と言って、トナンのような者の影響を受けない装置を作動すると機能が限られてしまって速度が遅い。だが行き先は同じ首都だ。」
(シュト・・。)
 エイジアはランバーで見たキラウア山を思い出していた。

 驚くべき速さでどこまでも広がる緑の大地の上を滑ってゆくと、かなたにそれは見えてきた。
「キラウア山?」
 エイジアの感嘆に答えたのはサオ・ハだった。
「そう。もうここは首都だよ。」
「えっ?」
 眼下には緑の木々しか見えない。
「ほんとうに建物は見えないな。」
「半地下を利用したり、屋根の上を緑で覆ったりしてる。ほら、いよいよ着いた。」
 エイジアは目を丸くした。
 キラウア山の麓の、何もないかのように見えるところで唐突に飛行艇は止まり、その下の緑がいきなり割れて格納庫のようなものが見えて来た。ゆっくりと降下してゆく。
 頭上の屋根が静かに閉じ、停止した飛行艇の出口が開いてエイジアたちは降り立った。
「議長。」
 トーダがまず挨拶したのが、出迎えた銀髪の初老の女性だった。
「彼が?」
「はい。今のところの唯一の手がかりです。」
 女性は笑みを浮かべて手を差し出した。
 エイジアはその手を取って微笑み返した。
「何も覚えていないのです。お役に立つのかどうか。」
「かまわないのよ。役に立つ、立たないなど些末なこと。ようこそ、首都へ。わたしはユーニス。」
「流れ着いた村でエイジアと名付けられ、呼ばれていました。」
 ユーニスはうなずいた。
 エルナハンがユーニスに近づき、キスをした。
 一同歩き出して、エイジアは自然とデンと並んだ。
 エイジアはデンにささやいた。
「エルナハンとユーニスって?」
「パートナーだ。」
「夫婦ということ?」
「そう。」
「エルナハンはユーニスの息子みたいだけど。」
「パートナーになるのに年もなにも、関係ないな。エルナハンは年よりも十分成熟してるし、ユーニスは少女のようなところがある。見た目では測れない。彼らは最高のパートナーだ。」

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